教授挨拶

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教授挨拶

産科学・胎児病態学分野の齋藤昌利です。

産科学・胎児病態学分野は、2012年4月に前任の木村芳孝先生を教授に迎え「融合医工学分野」としてスタートしています。融合医工学分野では、子宮内の胎児の生体情報である胎児心臓の電気的信号を母体の腹壁から採取する「胎児心電図」の開発に力を入れ製品化することに成功しました。それまでリアルタイムの胎児の生体情報として計測可能であったものは「心拍数変動」しかなく、実際の臨床現場ではこの胎児心拍数変動のみで刻一刻と変化する胎児の状態を「推定」するしかありませんでした。しかしながら、木村先生が開発した「胎児心電図」によって、さらに深層の胎児の状態変化を捉えることが可能となり、今後の妊娠・分娩管理が大きく進化することが期待されています。
その後、2020年4月より私が木村先生の後任として着任し、「産科学・胎児病態学分野」として新たなステップアップを目指して活動をしています。

前述したように、妊娠子宮の中にいる胎児の生理的活動は未だブラックボックスの中にあると言えます。いつ頃から光を感じているのか、いつ頃から耳が聞こえているのか、そういったいわゆる「発生」の謎以外にも、子宮の中での経験が出産後の赤ちゃんにどのように影響しているのか、将来の病気の発症と子宮の中の環境には関連があるのか、そもそも胎児の血圧はどのくらいであるのか、酸素飽和度はどのくらいであるのか、、、などなど分からないことだらけです。

我々の分野はそのような妊娠中の子宮内環境の謎を解き明かし、新たな知見の創出や全く新しい診断方法や治療方法の開発を目指して基礎的な研究から臨床的な研究まで行っています。
「産科学」の力によって出産を迎えるお母さんを、「胎児病態学」の力でこれから生まれ出る赤ちゃんの健康を守っていけるようにこれからも進み続けます。